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Albert Augustine Ltd.
Augustine Strings
オーガスチン・ストリングス:ブランド解説

Musical Instruments
Equipment (Electric)
Accessories
Import Brand
 Augustine:Index

ブランド略史

オーガスチン弦の登場以前
 1947年に世界ではじめてナイロン製のギター弦を発売したメーカー、それがアメリカの「アルバート・オーガスチン」社です。

 現在でこそクラシックギター弦といえばすなわちナイロン弦を指しますが、オーガスチン弦が登場する以前は「ガットギター」にその名を残すとおり、高音弦はガット(羊腸)、低音弦はより合わせた絹糸(または羊腸)に金属線を巻いたものが主流でした。

 しかしながらガット弦には数多くの難点があったのです。それは主に、(1)温度や湿度の変化に敏感で、すぐに音程が狂ってしまうこと、(2)高音弦は数日で切れてしまうほど耐久性が低いこと、(3)高価であること、などといった理由でした。

 そんな中、第二次世界大戦期に2つの転機が訪れます。1つは、原料となるガットが手術用の糸として使われていたことなどによる資材不足です。そしてもう1つは、デュポン社が開発した新素材「ナイロン」の普及です。

 「クモの糸よりも細く、鋼鉄よりも強い繊維」として1938年に工場生産が開始されたナイロン素材は、戦時中には落下傘の材料として使われ、その後は釣り糸や衣服などに活用の幅を広げていました。


開発:アルバート・オーガスチンとアンドレス・セゴビア
 1900年、デンマーク生まれのアルバート・オーガスチンは1926年から1927年頃にアメリカに移住し、ニューヨークに工房を構えギター製作を行っていました。そして1940年代の終わりごろ、セントラルパーク西にあったオーガスチンの居宅の2階にアンドレス・セゴビア(1893-1987)が移り住み、こうして2人の交流が始まることになります。

 戦後、ガット弦がきわめて入手困難となり、セゴビアはコンサートで使用するガット弦にも困る状況となっていました。そこで、デュポン社のナイロン素材である「釣り糸」に着目していたオーガスチンに要望し、1946年、本格的な開発がはじめられたのです。

 もともとデュポン社はナイロンのギター弦への活用に懐疑的であったといいます。しかし、オーガスチンによってセットアップされたナイロン弦のデモンストレーションを受け、その成果に大変喜び、積極的な協力を申し出たのです。

 オーガスチンによるナイロン弦の開発は、高音・低音それぞれに使用されるナイロンの太さ、音程、張力、そして音質など多岐にわたるもので、それらは終始、セゴビアのリクエストや熱心なアドバイスにもとづいて進められたのでした。

 ナイロン弦に大きな可能性を見いだしたオーガスチンは、1947年に「Albert Augustine Ltd.」を設立し、ナイロン弦の生産をスタートさせます。その一方でギター弦として求められるクオリティの追求はたゆまず続けられ、ついに1954年、現在のオーガスチン弦の原点というべき「Black」が発売されるのです。

 1954年のアメリカ「ギター・レヴュー」誌において、セゴビアは次のような賛辞を述べています。
『さまざまな困難に打ち勝ち、ついにアルバート・オーガスチン氏はガットに取って代わる新たなギター弦をつくり上げたのだ。それは耐久性、音量、音色、演奏性において、数えきれないほどの優位を誇る弦なのである』

 ガットでは考えられない高い耐久性、豊かな音量、高・低音弦の音色と音量のバランスの良さ、パーフェクトなスムースさ、そして安価さをアドバンテージとして、オーガスチン弦はまたたく間にクラシックギターのスタンダードとして世界に広まりました。オーガスチン弦の裏パッケージにはそれ以来セゴビアの肖像が印刷されていますが、これはアルバート・オーガスチンとアンドレス・セゴビアの共同作業のあかしでもあるのです。

 また、忘れてはならない存在として、アルバートの妻でギター弦の開発にも惜しみない協力を行っていたローズ・オーガスチン(1910-2003)が挙げられます。ニューヨーク生まれのローズは1928年にアルバートと結婚し、オーガスチン社創業当時は高校で化学の教師をしながら、会社の運営にも尽力したのでした。


現在まで
 創業者のアルバート・オーガスチンは1967年に亡くなり、会社は妻のローズ・オーガスチンが継ぐこととなりました。

 1954年の「Black」発売以降、演奏家達のさまざまな要望に応えるために、低音弦の音の立ち上がりの速さを向上させた「Red」、そしてよりブライトでテンションの高いサウンドを指向した「Blue」とラインアップが追加され、現在では高音弦の「リーガル」そして「インペリアル・ゴールド」が発売されています。

 オーガスチン弦は最初に発売されたナイロン弦というだけではなく、現在でもその輝かしい音色によって、世界中のギタリストにとってのスタンダードであり続けているのです。


参考資料
http://www.albertaugustine.com
「現代ギター」2003年7月号:「追悼・ローズ・オーガスチン」
http://www.csun.edu/~igra/rose.html
http://www.guitarreview.com/rose%20bio.html


オーガスチン弦・3つの意義
1.ナイロン弦を世界で最初に発売した、先駆者としての意義
* アメリカのアルバート・オーガスチン社はそれまでの耐久性の低いガット(羊腸)に代わるものとして、1947年に世界で初めてギター用のナイロン弦を開発し、一気に世界へ普及させました。(その経緯と概要については、「ブランド略史」をお読みください。)
* 日本では荒井貿易が創業する1957年より以前、1954年から創業者の荒井史郎によってオーガスチン弦が輸入されています。


2.あらゆるクラシックギター弦のスタンダードとしての意義
*先駆的ブランドとして、そして普及度の高さから、個々の楽器のクオリティや鳴りの判断をする上でのスタンダードとしてオーガスチン弦は利用されています。

3.ブライトかつ力強い鳴り、豊かな音量
*オーガスチンがナイロン弦を発売して以降、さまざまなメーカーがこれに追随しました。しかし、いまだに「クラシックギター弦といえば、まずはオーガスチン」という評価はまったく揺らいでいません。これは単に先駆者という世間の認識だけではなく、最も重要な「サウンド」においてオーガスチン弦が高いクオリティを持っている事に他ならないのです。

【オーガスチン弦・そのサウンドの特長】
 i.ブライトな音色
 メロディラインを明瞭に映し出す高音弦のクリアな響き、そしてブライトで生気に満ちあふれた低音弦の響きは他のブランドの弦では得られない魅力です。
 ii.力強い鳴り・豊かな音量
 クリアでありながら芯のある高音弦はきわめて音の遠達性に優れています。また、力強い鳴りを特長とする低音弦は、コンサートホール級の演奏会場でも豊かな音量を聴衆に伝えることができ、プロ演奏家から愛用される大きな理由となっています。


オーガスチン製品の概要
 オーガスチン弦を発売順にならべると「ブラック」「レッド」「ブルー」「リーガル(高音弦:一般に「紫」とも呼ばれる)」「インペリアルゴールド(低音弦・ゴールドプレーテッド)」となり、価格もこの順となっています。しかしこれらは音色やテンション感がそれぞれ異なるものであり、個々の演奏者の好みによって選択されるものといえます。

 BLACK (1-2-3-4-5-6:セット弦) [レギュラー]
 RED (1-2-3-4-5-6:セット弦) [ミディアムテンション]
 BLUE (1-2-3-4-5-6:セット弦) [ハイテンション]

 REGAL (1-2-3:高音弦)
 REGAL/BLUE (1-2-3:リーガル高音弦 4-5-6:ブルー低音弦)
 REGAL/RED (1-2-3:リーガル高音弦 4-5-6:レッド低音弦)
 REGAL/BLACK (1-2-3:リーガル高音弦 4-5-6:ブラック低音弦)

 IMPERIAL (1-2-3:インペリアル高音弦)
 GOLD (4-5-6: ゴールド・プレーテッド低音弦)

テンション表示は輸入元の荒井貿易が便宜上付しているものですが、傾向として次のようなことがいえます。

・高音弦(1,2,3)のテンション
  [標準(レギュラー)]     [中(ミディアム)]     [高い(ハイ)]
  BLACK / IMPERIAL     RED / REGAL      BLUE
・低音弦(4,5,6)のテンション
  [標準(レギュラー)]     [中(ミディアム)]     [高い(ハイ)] 
  BLACK / GOLD        RED            BLUE

 それぞれの種類は1本づつのバラ弦としても販売されています。実際には、次のような弦の選択方法が考えられます。
・スタンダードなセットで良い場合: 
  →BLACK、RED、BLUEのセットから、テンションの好みで選択
・高音弦をより良いグレードにしたい場合: 
  →高音弦をREGALにしたBLACK、RED、BLUEのセットから、低音弦のテンションの好みで選択
・高音弦をより良いグレードにしたい。ただし、REGALよりもテンションが低い(軽い)方が良い場合:
  →高音弦をIMPERIALのバラでそろえ、低音弦をBLACK、RED、BLUEのバラ弦から選択。


 演奏者の好みに加え、楽器の持つ個性との相性も、弦を選択する上で重要なポイントです。さまざまなテンションや種類の弦をお試しになることを通して、輝かしい音色を持つオースチン弦の魅力を改めて認識していただけることと確信いたしております。


参考資料;
「現代ギター」:2004年5月号 「最新ギター弦主要製品チェック」 p.42
「現代ギター」:発行号不詳「特集・ギター弦全製品チェック」 p.22, p.23

荒井貿易株式会社 2004
http://www.ariaguitars.com/jp/


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